Deda Carbon Blast改造~エアロバーのアームパッドを自作

記事内に広告が含まれています。

レース前に勢いで買ってしまったエアロバー、DedaのCarbon Blast。平地走行でのスピードアップはすぐに実感できたが、デフォルト状態ではいまいち使い勝手が悪い。

滑り止めにバーテープを巻き、さらにアームパッドを手作りしたら改善できた。純正オプションより安い市販のフォーム素材を切って貼るだけで、耐久性やメンテナンス性を大幅に向上できる。

エアロバーにもバーテープを巻く

カタログに出ていた旧モデルはロゴのプリントがシンプルだったのだが、届いたカーボンブラストは全体に変な模様が入っていた。BLASTの文字が赤いのも気になる。

付属のパッドに印刷されている白い模様は、すぐに剥げてみすぼらしくなった。購入理由の9割は見た目だったので、ダサくマイナーチェンジされたバージョンが届いてがっかり。

カーボンブラスト

しばらくはカーボンむき出しの状態で乗ってみたが、やはり握ると汗で滑る。サイクルグローブを着けてもクッション用の布地がかえって滑る。やはりハンドルまわりにはテープを巻かないと危ない。ショック吸収の目的もあるが、滑り止め効果の方が重要度は高い。

たまたま余っていたOGKの「超薄手」バーテープを巻いたら、グリップは抜群によくなった。エアロバーにテープを巻くなら、全体のシルエットが変わらない薄手タイプの方が似合う。路面の振動もたいして気にならない部分だから、テープの厚みは必要ない。

ツヤのあるカーボン素材は拝めなくなったが、おかげで変な模様やロゴが気にならなくなった。トライアスロンで距離の短いレースなら、グローブを着けずに走ることもある。これなら素手で握っても、めったに滑る心配はない。

カーボンブラストの先端部

バーテープを巻く際に、先端パーツ内のゴムパッキンが切れていた。防水のためなのか、滑り止めなのか、用途はよくわからない。ゆるんだ輪ゴムは取り外しても問題なさそうだ。

Dedaの純正パッドはショボい

付属の安っぽいスポンジパッドは、使用1か月ほどで劣化が気になってきた。

白いプリントが粉になって消えていくのは構わないが、手首を乗せるには弾力性が頼りないと感じる。それほど体重を乗せるわけでもないが、カーボンの土台に底突きして腕の骨が痛む。このままでははレースで長時間使うのは厳しい。

また、スポンジが汗を吸うので次第に臭いが気になってくる。接着剤で貼り付けてあるため、外して洗濯することもできない。冬場はまだましだが、夏になるとヘルメットのストラップのように臭くなりそうな気がする。

ためしに交換パーツを調べてみたら、Dedaからカーボン/メタルブラスト兼用の純正パッドが出ていた。

この品質で2,000円とは高すぎる。またすぐ劣化して汗臭くなるのは目に見えているので、頻繁に交換するのはコストが気になる。

フィジークからゲル素材の透明パッドが出ていたが、残念ながらProfile Design専用でDeda向けのライナップはない。ベースが3次元曲面なので、製造が難しいのだろうか。

アームパッドを自作する

せめて素材が耐水性なら汗をふき取って簡単にメンテすることができる。Dedaの純正パッドは高価なわりに、バー本体と品質が見合っていないのが残念だ。

なんとかパッドを改良できないかと思い、東急ハンズの素材コーナーを探してみた。冷蔵庫・洗濯機やスピーカー用の振動吸収フォームがいくつかあり、その中で「クラウン・ゼドラン・コンフォートキング」という商品が似合いそうだった。

触った感じの弾力性は固めでちょうどいい。色はブラックで価格も安い。表面はつるつるしていて吸水性がなさそうだ。ためしに10×10cm、厚み10mmのサイズを左右用に2枚購入してみた。

クラウン・ゼドラン・コンフォートキング」
商品説明を読むと、素材は軟質PVC(特許ポリ塩化ビニール製フォームマット)と書いてある。Deda純正品より安いが、明らかにクオリティーは上だ。

コンフォートキングを加工

エアロバーのパッド部分に紙を当てて、外形をトレースしてみた。若干上に反っているので、直に測るのが確実だ。一応、代理店のサイトに図面が出ていたので、これを印刷しても間に合うかと思う。

カーボンブラストの図面

コンフォートキングのパッドに紙を当ててカッターで切断。市販のカッターで簡単に切れて、加工性も問題なかった。安いスポンジだと、断面がぼそぼそしてきれいに切れないこともある。

カーボンの土台に、強力タイプの両面テープで貼りつけてみた。パッドはしなる形になるが、粘着力は十分ある。その後4年間、夏も冬も土砂降りの雨の中も酷使してきたが、一度も剥がれてくることはなかった。

コンフォートキングのパッド

耐久性・弾力性・保守性が向上

パッドに手首を載せてみると、骨に伝わる痛みは劇的に改善された。厚さは10mmでかさばらず、荷重をかけると適度に沈むが、底には着かない弾力性をそなえている。復元性も十分あり、ロングのレースで数時間使ってもへたれない。

表面はシボ革のようなパターンが刻んであり、これが滑り止めにもなる。吸水性はなく、使用後はウェットティッシュで拭うだけで清掃できる。夏場も汗臭くなることもなかった。

ゼドラン・コンフォートキングは、自転車のアームパッドには理想的な素材だ。まるでこのために開発された専用品のような気もしてくる。もしイタリアのデダチャイ社が知らないでいるとしたら、ぜひ教えて差し上げたい。

バーテープを巻いたカーボンブラスト

東急ハンズには、他にも医療用のゲルパッドなど高機能なクッション素材が並んでいた。ゲルの上に柔らかいスポンジを貼るなど、多層構造にすればさらに使い心地がよくなりそうだ。

簡単な工作で大幅に快適さを向上できるので、カーボン/メタルブラストのオーナーにはぜひおすすめしたいテクニック。汗臭さを抑えるだけでなく、長時間のレースで手首の疲労軽減に役立つことは間違いない。