ジェットスターで成田~鹿児島、ロードバイク飛行機輪行メモ

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徳之島のトライアスロン大会に参加するため、成田空港から鹿児島空港まで輪行してみた。格安航空のジェットスターを利用した、初めての飛行機輪行。ペダルを外すのと空気を抜く作業だけで、特に問題なくバイクを運ぶことができた。

東京~鹿児島間なら自転車預けの追加費用は2,000円。途中の自走で浮かせたバス代と、フェリーの預託費用を差し引きしても、宅急便で送るより安く済んだ。

持ち運びの手間は増えるが、途中で自走観光できて楽しいともいえる。旅程に余裕があれば、自前で離島にバイクを運んでみるのもありだ。

運賃が安すぎるジェットスター

ジェットスターのウェブサイト「サイズの大きな手荷物」にあるとおり、「1辺の長さが1mを超えるスポーツ用品(自転車など)」は追加料金が必要になる。さらに預け荷物の量も増えるので、重量分の追加購入も必須(無料範囲の7kgには到底収まらない)。

ANAやJALなら20kgまで無料で預けられるが、追加分を含めてもジェットスターの方が圧倒的に安い。同じ格安航空でも、羽田から出ているスカイマークを選ぶより、ジェットスターと成田までの電車賃を合わせた方がさらに安い。

空港アクセスの不便さと引き換えに、首都圏から輪行するなら、たいてい成田発のジェットスターが最安になる。たまたまセール価格だったのか、ウェブから予約した運賃はたったの3,990円。ここ数年、仕事で10回くらい鹿児島まで往復したが、ここまで料金が下がったことはなかった。

離島のレースは一般的な観光シーズンとずらして開催されるせいだろう。閑散期の割安価格でフライトを押さえることができる。15kg分の手荷物追加料金(1,500円)と大型料金(2,000円)、カード決済手数料など諸費用を含めても、往路は税込8,370円で済んだ。

成田~鹿児島のジェットスター料金

復路で利用したバニラエアは、奄美大島から成田まで16,960円。LCCでもバイク輸送を含めれば、このくらいが相場だと思う。ジェットスターがたまに打ち出してくるセール価格は異常だ(その分、フライト遅れや欠航トラブルも頻繁に起こる)。

ジェットスターの自転車預け規定

飛行機輪行が電車と違うのは2点。「タイヤの空気を抜く」「ペダルを外す」というルールだ。ざっくりとした規則はジェットスターの「自転車のお預け入れについて」に書かれている。

空港内で自転車の空気入れを貸してくれるサービスは見たことがない。受け取り後は携帯ポンプが必須になる。ペダルを着脱するためのレンチも欠かせない。

自宅で使っている重いスパナを持ち運ぶ気にはなれなかったので、今後のことも考えbazookaの薄型ペダルレンチを購入した。ちょっと頼りないくらい軽くて薄いが、さすが専用品。空港でのペダル着脱にはまったく問題なかった。

ついでにスプロケット用のカバーもMTB用のビッグサイズを買い足しておいた。11-25Tのワイドなタイプだと、オーストリッチのロード用カバーはギリギリになる。フリーカバーは最初から大きめのMTB用を買うのがおすすめだ。

ミニペダルレンチとフリーカバー

その後、ダホンのK3を買ってから「折りたたみペダル」はどうなるのか気になった。念のためジェットスターに問い合わせてみたところ、「構造がしっかりしていれば外さなくてよい」との回答だった。

三ヶ島のFD-7を例に挙げたらOKだったので、たいていのフォールディングペダルは飛行機輪行で根元から外さなくても済むと思う。

電車内の自転車置き場

飛行機輪行で一番きついのは、都心を経由して成田空港まで往復する電車区間。なるべくラッシュの時間帯は避けても、新宿駅や東京駅のターミナルは常に混雑している。

がんばれば成田まで自走できないことはないが、レース前に余計な体力消耗は避けたい。そして帰りは遊びすぎて疲れている。途中の道は交通量も多く、バイクで走っても楽しいルートではない。

今回の輪行バッグはジャイアントのスーパーライトを使用した。電車内のバイク置場としては先頭・最後尾車両か、車椅子用スペースがベターだろう。まわりを見て車椅子やベビーカーの利用者がいなければ、ここに自転車を置かせてもらうと迷惑をかけない。

電車内での自転車の置き方

さらに手すりにストラップを巻き付けて、カラビナで留めておくとバイクが自立して便利だ。

成田空港での自転車預け

成田空港のLCC用第3ターミナルまで、駅のある第2ターミナルから500m以上歩くことになる。途中で無料のシャトルバスを利用できるが、たいていタイミングが合わない。

途中の通路は陸上用のタータン素材になっているので、歩いて向かうのも楽しい。早朝便の利用で空港に前泊するなら、(ほかの人の迷惑にならない程度に)ここでランニング練習もできる。

成田空港第3ターミナルのタータン

ジェットスターのカウンターでバイクのチェックを受けたら、FRAGILEの札をもらえる。

壊れもの注意のタグ

バイクと手荷物(バックパック1個)を含めて、計算どおり15kgの範囲に収まった。LCCの重量計測はシビアなので、事前に自宅で測って余計な追加料金を取られないようにしたい。

ジェットスターで自転車輪行

その後、受付カウンターの奥にある各社共通の「大型手荷物検査場」でバイクを預けることになる。折りたたんだ自転車も通せるくらいの大きな機械が待ち構えている。

成田空港第3ターミナルの大型手荷物検査場

ターミナルから機体への荷物搬入を観察していると、他のスーツケース類と一緒にコンテナに入れた状態で格納されるようだ。その中でバイクがどんな置き方をされているのか、うかがい知ることはできない。

飛行機に積まれる自転車

とりあえず往復2回、LCCの国内便で自転車を預けてみて、フレームやホイールに大きな傷やダメージは見つからなかった。

車体の保全を第一に考えれば、やはりシーコンクラスのハードケースに入れて運んだ方が安全だろう。ケースを担いで自走するのは無理なので、その場合はお金のかかる宅急便一択になってしまう。

空港でのバイクの組立・分解

鹿児島空港で受け取ったバイクを組み立てる。ペダルが固着していると外すのに苦労するが、取り付ける際は簡単。

携帯ポンプはACORのAS3を持ってきたので、効率よく空気を入れることができた。サイズが手ごろなのが売りだが、旅先で空気圧管理できるメリットも大きい。

鹿児島空港でバイク組み立て

帰りは奄美大島の空港でバイクを梱包した。レースでもらったお土産が増えてバックパックに収まらず、バイク側にもいくつかくくりつけた。

ドロップハンドルとエアロバーの隙間に鉄人焼酎、その上にヘルメットを重ねると袋が膨らまずに済む。この状態で荷物預けの検査も通せて、焼酎がこぼれたりするようなトラブルもなかった。

奄美大島空港でバイク分解

後は東京まで公共交通機関で帰るだけ。真の鉄人なら、搭乗前に焼酎500mlくらいラッパ飲みして荷物を減らせたかもしれない。

飛行機輪行のコスト的メリット

これまで参加した伊豆大島以外の離島レースでは、会場までバイクを宅急便で送っていた。

シーコンのエアロコンフォートに入れて、発送時は集荷に来てもらうか近所のヤマト運輸センターまで持ち込む。レース会場ではたいてい返送までサポートしてもらえるので、身軽に旅行できるのがメリットだ。

一方、バイクの輸送費は東京から五島~宮古島までだと往復20,000円以上かかる。今回利用したLCCのジェットスターなら、バイク預託の追加費用は1回2,000円。島へ移動するフェリーで自転車料金1,700円取られるが、それでも輪行の方がずいぶん安く済んだ。

輪行なら空港・港・会場間など、微妙な距離をバイクで自走できる。今回は鹿児島空港から鹿児島港まで自走して、バス代1,250円を浮かせることができた。

レースによっては、港から会場までバイクをトラックで運んでもらえたりもする。ただし会場から離れた場所に宿を取ると、その後の交通手段に困る。手元に自転車があると、島内のちょっとした移動にも便利だ。

観光面の利点と、荷物が増える欠点

スケジュールに余裕があれば、レース後にそのままバイクで走って周囲を観光できる。今回も台風でコース短縮されて走れなかった徳之島の南側や、奄美大島を周遊することができた。

石垣島くらいメジャーな観光地なら、現地で高性能なロードやMTBをレンタルできることもある。しかしたいていの離島で手に入るのは、ママチャリが関の山だ。

途中の自走観光は楽しかったが、トータルで考えると離島輪行は苦労が多かった。特に奄美大島でフライト欠航になり、バイクの組立・分解を繰り返した際はうんざりした。

バイクを担いで運ぶ分、他に持ち運べる荷物も減る。ただでさえトライアスロンの荷物は多い。背中に背負えるバックパックやトランジションバッグに、ウェットスーツや機材を入れればもう一杯だ。

今回はフラットペダルだったので、ランニングシューズ一足で移動もレースも兼ねられた。ビンディングシューズを持って行くのはスペース的に無理。現地でお土産を買って帰る余裕もなかった。

離島レースのバイク輸送に関しては、宅急便の方が確実に手間は減る。コスト面では輪行が有利。旅先での自由度は、観光計画やトラブルの有無に応じて一長一短という感じだ。