北丹沢12時間山岳耐久レース・コース後半試走(風巻尾根~姫次)

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キタタンこと北丹沢12時間山岳耐久レースに向けて、ルートの一部を試走してみた。青根キャンプ場のスタート地点まではロードバイクで自走。

青根STRAVA青根STRAVA

スタート時間が遅れてしまったので、コースの後半部分をメインに20kmくらい走った。キタタン最大の難所といわれる、風巻尾根の急登を体験できたのはよかった。

ヤマレコ、北丹沢

日本三大山岳レースの一つ

富士登山競走にエントリーするのをうっかり忘れてしまい、代わりに申し込んでみたキタタン。実は富士登山競走、ハセツネと並ぶ日本三大山岳レースの一つであるらしい。

距離は40kmだが、標高差は1,000m以上あり制限時間は12時間。トレランのレースに出るのは初めてなので、数字を見てもいまいちピンとこない。

秦野に住んでいた頃、大山~塔ノ岳周辺の表丹沢はよく歩いた。しかし蛭ヶ岳より北の裏丹沢には入ったことがなく、土地勘もない。何はともあれ試走した早いということで、梅雨の晴れ間を生かして向かってみることにした。

青根までロードバイクで自走

キタタンのスタート地点は、道志みちにある「青根緑の休暇村」というキャンプ場。藤野駅や橋本駅からバスが出ているが、かなり距離がある。普段、ロードバイクで通る場所なので、自転車で自走して向かってみた。

若干寝坊して10時出発。奥多摩の山に入っても気温は27度でやや暑い。トレランシューズを履いてきたので、ビンディングペダルが少し回しにくい。行きは檜原村から甲武トンネルを抜けて、上野原経由で藤野~青根に向かう。上野原にあるコンビニ、デイリーヤマザキには焼き立てパンのコーナーがあるのが楽しみだ。

藤野では「ぶるべの里」という看板を見つけたが、自転車関連ではなくブルーベリーのことらしい。中央線・中央道が通っていて交通の便がよいこのエリアは、戦時中から疎開先として栄えていた。今でも都心から移住先として人気がある。

藤野村の貸地

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相模湖から道志みちに向かって南下する道は、県道76号と518号(牧馬峠)の2本がある。宮ケ瀬湖やヤビツ峠に向かうなら後者、青根・山伏峠(富士山方向)を目指すなら前者が近い。

道志ダム

76号は初めて通ったが、特に峠というほどの坂はない。また牧馬峠より道幅が広くて走りやすいせいか、車どおりが多かった。道志ダムの上を渡ると「青根緑の休暇村」に到着する。

青根緑の休暇村

道志みちから見ると川沿いの下った位置にあるせいか、今まで知らなかったキャンプ場。コテージや温泉の施設も充実していて、オートキャンプやツーリングの拠点としても人気なようだ。

『山と高原地図』対象エリアは「丹沢」

キタタンコースの登山道を確認すべく、『山と高原地図』の「高尾・陣馬」を買い足した。すでに持っている「奥多摩・御岳山・大岳山」の南側エリアをカバーすることができる。

しかし丹沢付近の表記がやけに粗いと思ったら、「国道413号より南の山域は山と高原地図『丹沢』参照」と書かれていた。地図には載っていることは確認していたが、対象エリアではなかったようだ。

山と高原地図 高尾・陣馬

丹沢エリアは以前『山と高原地図』のアプリ版を購入したので、地図を買うと内容がかぶってしまう。ただ登山中はスマホのバッテリーを節約したいこともあり、操作面を考えても紙の地図の方が便利だ。

キタタン高低図

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キタタンのコース図によると、まず平丸から近場の標高654mの山に登ることになっている。その山頂から西の沢に抜けるルートが『山と高原地図』には載っておらず、鐘撞山や犬越路付近のルートも不明瞭。

今日は出発が14時と遅くなってしまったので、神ノ川ヒュッテの補給ポイントまでショートカットすることにした。そこから上りのきつそうな姫次~ゴールまでのルートだけ確認しておきたい。

道志みち~神ノ川ヒュッテ

スタート地点のキャンプ場から道志みちに出るまで、いきなりきつい上り坂になる。交通量の多い国道413号は注意して走行し、音久和(おんぐわ)の付近で「うらたんざわ渓流釣場入口」の側道に入る。ここから神之川に向かう道路は行き止まりなので、これまで自転車で通ったことはない。

うらたんざわ渓流釣場入口

集落を過ぎると寂びれた山道になるが、キャンプ場やマス釣り場と行き来する車がたまに通る。途中で小さい滝を見ることができた。トンネルと抜けると、レース本番で上り下りする大室山が見えてくる。

室山

途中ですれ違った人はトレイルランナー1人とソロの登山客2名。神ノ川ヒュッテにはトイレがある。

風巻ノ頭~袖平山の激坂

自転車のヒルクライムで「激坂」というネタ話があるが、自分の登山体験でここまでの急勾配は初めての体験だったかもしれない。標高は低いが、軽く富士山を登るくらいの負荷を感じた。

東海自然歩道の入口

「東海自然歩道」の道標から姫次を目指して登山道に入る。序盤から勾配がきついが、石段や砂袋が敷いてあり歩きやすい。

道は次第にガケのような激坂に変わってきた。一息つけるようなところもなく、2kmくらいある急坂をひたすら登る。ここまできつい登坂はめったに体験したことがない。富士登山の終盤くらいの負荷がある。

風巻尾根の急坂

走るのはとうてい無理な勾配なので、なるべく足を止めないように早歩きで登る。始終木陰の中で涼しいはずだが、恐ろしいほどの運動量で汗をかいた。ようやく「風巻ノ頭」の小屋にたどり着き、ここで休憩・水分補給。

風巻尾根の休憩所

案内板によると、この風巻尾根は「丹沢山塊の中でも屈指の急登」。4kmで900mの標高差を駆け上ることになる。風巻ノ頭はまだ中間地点に過ぎなかったが、ここから袖平山までは少し勾配がゆるくなるようだ。

風巻尾根

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姫次に向かって途中いくつか岩場もあったが、走れる部分が増えてきた。ときどき見晴らしがよい場所もある。

袖平山から見た蛭ヶ岳

やがて袖平山(標高1,432メートル)に到達。南側には蛭ヶ岳の山頂と山小屋が見えた。山頂のベンチで座って休めるが、アブのような羽虫が噛みついてきて、じっとしていられない。

袖平山の山頂

急登をクリアすれば眺めのよいコースだが、他に誰も人はいない。時間はもう17時過ぎで、日帰り登山としてはもう遅い時間だ。

姫次~平丸分岐は快適な下り

袖平山から先は道が下り気味で、ようやく快適に走ることができた。ほどなく到着した姫次は、北に行けば焼山経由で道志みち、南に行けば蛭ヶ岳という丹沢の主要な分岐点。ここも広場とベンチが整備されていた。

姫次

レースの標高図によると、ここから先は長い下り。路面の悪いところには木の階段が敷いてあり、ほとんど走って通過することができた。東の方角には宮ケ瀬湖があり、その向こうの関東平野まで見渡せる。

姫次からの下り

途中で「ヒル注意」の看板を見かけた。シューズにヤマビルファイターを吹きかけて、始終動き回っていたおかげか、今日も被害に遭うことはなかった。

ヒル注意

レース本番でもヒル避けの薬品は忘れないようにしたい。

平丸分岐~青根キャンプ場

平丸分岐から先はメインの登山道を外れて道が狭くなる。ところどころにレースの標識が設置されているので、迷うことはなさそうだ。

路面に出っ張った危険な根っこには、注意喚起のビニール紐が結んであった(2か所ある)。レース終盤で疲れもたまっている頃だと思うので、転倒やケガには注意したい。

平丸分岐

やがて道志みちに出て集落を抜け、「キャンプ場への近道」というルートへ進む。ここは河原のぬかるんだ石が転がっていて滑りやすい。

青根キャンプ場への近道

スタート地点のキャンプ場に戻って無事ゴール。トイレだけでなく顔を洗える洗面台も設置されているのがありがたい。

八王子バイパス経由で帰宅

帰りは山道を避け、道志みち経由で津久井湖から橋本に出て八王子バイパス経由で帰宅した。6月で夏至も近いので、19時を過ぎてもまだ外は明るい。トレランで走ったあとに自転車に乗ると、足の筋肉がほぐれて気持ちよい。

夜の八王子バイパス

八王子バイパスの車道は自転車進入禁止だが、歩道を歩いている人はめったにいない。橋本から拝島方面に向かうなら、西側の国道16号を進むよりおすすめだ。途中にある交差点も、陸橋やアンダーパスで足を止めることなく通過できる。

今日はキタタンのコース後半を中心に20kmほど走っただけ。それでも風巻尾根の急坂を登ったせいか、翌日は筋肉痛になった。その代りに、きつい登坂のあとは姫次からの長い下りを気持ちよく走れた。

トレイルランニングとは、苦労して標高を稼いだあとの下りを楽しむスポーツなのかもしれない。何となくスキーやハンググライダーと似ている気がした。