究極的に軽いベアフットサンダル、ゼロシューズJESSIEレビュー

変形性膝関節症に関する論文を読んで「ソールが薄くて柔らかい靴は、膝の内転モーメントを軽減する」という情報を知り、久々にベアフットシューズに興味を持った。膝の治療に役立つかと思い、新たに買ってみたのはXERO SHOESのJESSIEというサンダル。

ソールの厚みは6mmで、親指と足首だけで固定する最低限の構造だ。おそらく今国内で手に入るベアフットサンダルとしては、最も軽くてミニマムな部類でないかと思う。

ゼロシューズ、ジェシーの踵部分

1か月ほど履いてみたジェシーのサンダルをレビューしてみたい。親指まわりの寸法がきつかったため、一部改造してサイズ調整も行った

サンダルの方が薄くて軽い

ベアフットシューズの代表といえば、ビブラムファイブフィンガーズ。街中で見る機会は減ったが、さまざまなバリエーションのモデルがまだ販売されているようだ。

[ビブラム] Vibram FiveFingers EL-X 13M010142 Black(Black/M42)

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ちょうどニューバランスのminimus MT10も復刻して店頭に並んでいたので、じわじわとまたベアフットの人気が出てきているのかもしれない。

季節的に今回はベアフットのサンダルを買ってみることにした。ソールの薄さと軽さで比べれば、通常シューズに勝るはずだ。

夏場に近所を歩く際は、通気性のよいサンダルを履く機会が多い。仕事で人に会う機会が減ると、一日中サンダルで過ごす日が増える。真冬はさすがに冷えるので靴を履くが、計算するとだいたい5~10月の間、約半年はサンダルを履いて過ごしていることになる。

ルナサンダルより安いゼロシューズ

ゼロシューズソールの薄い製品で有名なのは、ルナサンダルだ。10年ほど前に流行ったときは、ビブラムと同じくらいよく見かけた。舗装路のマラソンだけでなく、ハセツネのトレランレースでルナサンダルを履いて走っている人もいた。

まだ日本にも輸入されているので購入候補として検討したが、現行モデルは昔よりソールが厚くなってしまっている。最も軽いベナード2.0でも厚さ9mmはある。販売価格も1万以上して、この手のサンダルとしては高級品だ。

ルナサンダルも一度は試してみたいが、もっと軽くて値段も安い「ゼロシューズ」というブランドを見つけた。最安のジェネシスで税抜5,800円。ソールの厚みは6mm、重量は27cmで170gとなっている。

調べた限りこれより薄くて軽いサンダルは見当たらなかった。値段も手ごろなので、今回はゼロシューズの方を選んでみることにした。

あえてジェシーを選んだ理由

XERO SHOESのサンダル・ラインナップとしては、GENESISかCLOUDが定番だ。Z-TREKやZ-TRAILはストラップが太くて安定しそうだが、その分重量も増える。

[XERO SHOES] メンズ

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それとはまた別に、JESSIEという見た目がきわめてシンプルな製品も存在する。足首のホールドはZ-TREK/TRAILより幅の狭いテープで、つま先は親指をループに引っ掛けるだけ。Womanモデルしかないが、サイズを選べば男性でも履けるらしい。参考重量は24cmで135g、ソールは5.5mm。パッと見はジェネシスより軽そうなイメージがある。

ジェシーを履いた見た目は「ほとんど裸足」。仕事はもとより、公共の場所で履くには少しためらわれるかもしれない。ビブラムファイブフィンガーズほどではないが、周りの人からはかなりアバンギャルドに見られるだろう。

XERO SHOES JESSIE

親指で支持するタイプのサンダルは、以前TevaのZILCHを履いていたので感覚はわかる。その究極的ともいえる外観に魅力を感じて、あえてジェネシスやクラウドではなく、ジェシーを取り寄せてみることにした。

歩き方が変わる。楽しくなる

それまで履いていたモンベルのスリップオンサンダル(ソール厚10~15mm)に比べて靴底の厚みは半分以下。素材も固めのラバーなので、接地感覚はかなり変わってくる。

むやみにかかとから足を下ろすと、地面に当たってガツンと衝撃が来る。膝に悪いという以前に足が痛むので、自然とゆっくりフォアフットで着地するようにフォームが改善される。足音を立てないよう、そろそろとつま先で歩くような感じになる。

XERO SHOES JESSIE

端的に言って歩行スピードは落ちる。路面の障害物にも注意するようになり、足運びがゆっくり丁寧になる。タイムを競うレースとしては不利かもしれないが、リハビリ中はスローペースで問題ない。もともと速足で歩くタイプなので、意識して「ゆっくり歩く」というのは新鮮な体験だ。

まるでロードバイクから小径車に乗り換えたように、風景を楽しみながらウォーキングできる。ジェシーを履いて歩くのが楽しくなり、特に用事はなくても散歩に出てしまう。これは「歩きはじめた赤ん坊」のような気持ちでないかと思う。

ただしこの手のベアフットシューズは足慣らしが肝心。調子に乗って長い距離を歩いたら、右のかかとが痛くなった。マメやタコができたわけではなく、圧迫されて皮膚が赤くなっているような状態だ。1日休めば治ったが、毎日少しずつ履いて足を慣らす(鍛えていく)のがよいのだろう。

グリップ性・耐久性は問題ない

ゼロシューズのソールはしっかりした凹凸が刻まれており、グリップ性はまったく問題ない。そして足のつま先・かかとの下は水平に深い刻み目が入っているので、より柔らかくソールがしなるよう工夫されている。このあたりは値段相応にしっかり作り込まれていると感じた。

XERO SHOES JESSIEのソールパターン

安物のビーチサンダルよりは確実に地面を捉えてグリップするので、このままトレイルも歩けると思う。足首まわりのホールド感も十分だ。当面ジェシーで走る予定はないが、ベアフット走法で足裏やふくらはぎを鍛えている人なら、十分にこのサンダルで走れるだろう。

薄いソールのデメリットとして、路上の小石を踏むと足裏が痛む。それでもちょっとツボを押されるくらいの刺激なので、繰り返されなければ耐えられる。さすがに用心して歩くので、画鋲や釘を踏み抜いたことはまだない。

ソールの屈曲性はよいが、素材自体はEVAより固めのラバー。自転車のタイヤよりも強度は高い。よほど鋭利なものを踏まなければ、貫通して足裏に刺さることはないと思う。

ゼロシューズの付属品

(クリックで拡大)

XERO SHOESはこの製品に対して「5,000マイル(=8,046km)」の耐久性を保証している。実際のところ毎日1か月履いたくらいでは、ほとんどソールが摩耗しなかった。2~3年は余裕でもつと思う。

地面の熱が伝わる

ソールの薄さについてもうひとつ懸念があるとすれば、地面の温度がダイレクトに伝わるということだ。夏場の日差しで温められたアスファルトを歩くと、足の裏が熱いと感じることがある。

さすがに街中で「地面が熱くて歩けない」ということはないが、焼けた砂浜では厳しそうだ。本来の用途どおりビーチサンダルを海辺で履くなら、ソールの厚さは10mm以上かつ熱伝導性の低い発泡素材がベターだろう。

ポジティブに評価するなら、「路面の熱を感じる」というのは新鮮な感覚だ。ベアフットで路面の凹凸を敏感に感じられるように、足裏の神経を刺激する効果があるのではないかと思う。足裏を鍛えるだけでなく、マッサージ効果のようなものも期待できるかもしれない。

着脱に時間がかかる

ゼロシューズのサンダルはいずれも足首をストラップで締める方式。そのため玄関先での着脱には時間がかかる。膝が曲がらないと、しゃがんで紐を触るのも一苦労だ。

XERO SHOES JESSIEの着脱

その点では、手で触らなくても履いたり脱いだりできる突っかけタイプや、鼻緒が自立してそのまま足を通せるサンダルの方が楽といえる。モンベルのスリップオンサンダルは固めの紐が形状を保つので、着脱が容易でありがたい。

モンベルに比べるとジェシーの紐は柔らかいので、ペタンと倒れてしまう。サンダルを履くときは、まずこれらの紐を手で起こしたうえ、足を通してマジックテープを締めるという3ステップの動作が必要になる。

ストラップの改造案

足首でホールドする分、歩行時の安定感やかかとがペタペタ鳴る現象は抑えられる。着脱の手間はその代償なので、我慢するしかない。

ジェネシスやクラウドの紐に細工をすれば、アキレス腱のホールドを省略して鼻緒だけで突っかけることもできるかもしれない。フィット感が低下するおそれはあるが、余裕があればぜひそちらのモデルも購入して、工作を試してみたい。