ワークマンの作業靴「建さん」はベアフットシューズの名作かも

ありとあらゆる裸足感覚シューズを探してたどり着いたWORKMAN。

試しに買ってみた「建さんII」という現場作業用のシューズを履き潰してみた。千円を切る超低価格ながら、ソールの薄さや屈曲性はまさに理想のベアフットシューズ。

近所で履いている人も多く、ワークマン・ファッションの一環としてじわじわ広まってきている気がする。山やロードバイクでも使ってみた建さんシューズの実力を評価してみたい。

安すぎるワークマンの作業靴

建さんIIは消費税10%を含めてもたったの680円。牛丼屋で定食を注文する値段で、実用的な作業靴が一足買えてしまう。

拍子抜けするくらい安いので、ウェブでレビュー記事を読むよりとりあえず買って履いてみた方が早い。会社に常備して災害時の避難用に使うとか、予備シューズとして何足かそろえておくのもありだ。

ワークマンの680円シューズ

建設現場だけでなく、庭先での軽作業やスポーツジムでの筋トレにもぴったり。サイズや色ごとの在庫も大量にある定番商品なため、いつでも補充できるのもうれしい。

建さんシリーズのバリエーション

「建さん」シリーズには記号なしのIもある。

そちらはアッパー素材がスケスケのメッシュ地なので通気性は抜群。ただしオールシーズン使うならキャンバス地のIIの方が汎用性は高い。

ワークマンの格安シューズ比較

左:建さんI(メッシュアッパー)、右:カックスシューズ

また業務用らしくつま先を保護した鉄入り・ベルト留めの建さんもある。ただしこちらは相当重量が増えるので、普段履きとしては厳しい。

つま先芯入りの安全靴

つま先芯入り建さん

この重さはまさに鉄下駄。最初からトレーニング目的で履くならありかもしれない。

見た目は他の作業ブーツほどごつくないので、ウェイトを仕込んだ隠れ鉄下駄といえる。つま先で蹴り上げれば武器にもなる。

主力の建さん以外にも、似たようなスリッポンタイプの軽量作業靴が豊富にそろっている。どれも2,000円以下なので、シーズンごとに履き替えて使い心地を試すのもありだと思う。

建さんIIを半年履いてソールに穴が開いたあとは、「寅さん」という上位製品を買ってみた。

ワークマンの寅さん・建さん

左:寅さん、右:建さんII(布地アッパー)

寅さんは仕様が豪華なので建さんより価格は上がるが、それでも税込1,609円だった。どちらも安いが、寅さんの値段で2足買える建さんのコスパは高すぎる。

通販でも手に入る建さんの亜種

ワークマンとの関連は不明だが、通販でも似たような格安シューズが手に入る。

キタの作業靴はアッパーが建さんそっくりで、ソールのパターンは寅さんと同じ複合型。

ヘイギの作業タビ靴はソールが建さんと一緒で、つま先周辺に独自の補強材が施されている。

送料を含めるとやはりワークマンが最安だが、どれも安いのですべて買って使い比べてみたくなる。

ソールが抜群に柔らかい

建さん最大特徴はソールの柔らかさ。

ゼロシューズのCMのように、シューズを片手でつかんで180度反転させて丸めることができる。いくつかあるベアフットシューズのなかでも、ここまで完全に曲げられる製品はめずらしい。

ソールの屈曲性検証

アッパーに芯地も入っていないので、ペタンコにして持ち運ぶことも可能。リュックに入れて運べば、キャンプ用のサブシューズとしても使える。

グリップ性もビブラム級

ソールのパターンは特に工夫がなく、ほぼ均一にジグザグの溝が掘られている。オレンジ色のゴム層の下には固いパーツがなく、布地のインソールとダイレクトにつながっている。

安っぽいソールだが現場作業を想定したグリップ性は本物。中国製チャイナ・ビブラムとでも呼びたいくらいの摩擦力を誇る。

建さんのソール

建さんを履いて雨に濡れたタイルや石段・斜面などいろいろなところを歩いてみたが、この半年で一度も滑ったことはなかった。ソールが減ってかかとに穴が開くほど使い込んでも、グリップ性は維持されている。

3月の御岳山登山で少し雪道を歩いてみたが、平地ならまったく滑る心配はいらなかった。

御岳山の雪道

建さんで雪道を歩く

半年履いたゴムのすり減り具合を見ても、耐久性は普通のランニングシューズと同程度かそれより高い。

穴さえ開かなければ、建さんの想定寿命は値段以上に長いと思う。おそるべきコストパフォーマンスだ。

ソールは薄くゼロドロップ

履の内側にはインソールがなく、白い布地が露出している。

建さんシューズの内側

布地の下にはちょっとしたクッション素材が入っているようで、見た目よりも履いた感触が柔らかい。ベアフットシューズとしては余計な機能だが、ワークマンのカタログによるとクッション層が従来品の2倍にアップしているそうだ。

それでも全体の厚みは1センチを切るくらいだと思う。もちろんつま先からかかとまで落差がないゼロドロップ。

ゼロシューズのサンダルほどではないが、シューズタイプとしてベアフット製品の標準仕様は満たしている。内装にクセはないので、市販のインソールを追加して好みの厚さに調整することもできる。

極端に軽すぎない頑丈仕様

余計なパーツがないため、建さんIIを手で持った感じは明らかに軽い。重量を測ったところ片側234~238グラムだった。

建さんシューズの重量

世の中にはもっと軽いランニングシューズがあるが、重そうな布地のアッパー素材なわりには軽い部類の運動靴だろう。履いて歩いても特にストレスは感じない。

ライニングやソールに一定の強度と摩耗性を持たせるため、無理な軽量化は行っていない印象だ。マラソン本番用の決戦シューズというよりも、汎用性や丈夫さを目的として設計されている。

アッパー素材が足になじむ

甲の締め付けを調整できる機能はなく、上部に入ったゴムバンドが唯一のアジャスターになる。

甲のゴムバンド部分

もともと幅が広めにつくられているせいか、自分の場合は27センチで左右の足とも無理なく収まった。アシックスのターサージールも27センチがジャストなので、国内メーカーのスニーカーとして一般的なサイズ感だ。

長く履いているとアッパーの綿素材が徐々に伸びて足にフィットしてくる。最初はゴワゴワした履き心地だったが、足の形になじんで来れば紐なしでも問題ない。

脱ぎ履きしやすく膝にやさしい

たまにつま先立ちするとかかとから脱げそうになったりするが、そのあたりの具合は靴下の厚みにもよる。

紐がないので着脱も簡単。かかとも柔らかいので、見た目を気にしなければ踏んだまま歩ける。

シューズを履くときは靴ベラなしで足を無造作に突っ込み、かかとの布地を片手で引っ張り上げれば完了する。つっかけのサンダルみたいな感じで脱ぎ履きする際にしゃがみ込む必要がないため、膝にもやさしい。

変形性膝関節症になると、玄関は転倒しやすい危険ゾーン。スムーズに靴を着脱できれば、その分膝を痛めるリスクも下げられる。

街中でカーフレイズできる

建さんIIはソールが柔らかいので、履いたまま簡単につま先立ちできる。

ワークマンシューズでつま先立ち

信号待ちでカーフレイズしてふくらはぎを鍛えたり、登山道の階段で丸太の部分を足でつかむことも可能。

目をつぶって履けば、値段が20倍くらいするメレルやニューバランスのベアフットシューズと違いがわからないのではないかと思う。膝のリハビリ中のためランニングは行っていないが、普通に歩く分にはワークマンで十分だった。

足つぼ刺激、路面の温度までわかる

ソールが薄いので地面の凹凸がダイレクトに足裏に伝わってくる。特にトレイルで小石を踏むと、足裏のツボが刺激されるようで気持ちいい。

ゼロシューズのサンダルと違って多少のクッションが仕込まれているため、尖った石を踏んでも「痛い」ということはない。

ただし真冬になると地面の冷たさも直接伝わってくるので、足裏が少し冷える感じがした。気になる場合は厚めの靴下を履くか、インソールを加えてで冷気を遮断すれば改善されると思う。

浮き指矯正にも使える

薄いソールの靴になれると、現在主流の厚底スニーカーには戻れなくなる。クッション性重視のランニングシューズ、ブルックスのラベナ8もたまに履くが、足裏がもこもこして歩きにくい。

やはり裸足に近い薄底シューズの方が、人間本来の自然な歩き方に戻れるのだろう。慣れれば断然、ベアフットシューズの方が歩きやすい。

足の指をしっかり使って「音を立てない」歩き方に近づけられる。浮き指の治療にも役立つと思う。

自転車・ロードバイクでも問題なし

ソールの柔らかいベアフットシューズは、ロードバイク用のビンディングシューズの対極にある。

最初はどうかと思ったが、意外とこれでもロードのフラットペダルを回すことができた。ペダルを踏む力が逃げるとかそういうデメリットはなく、むしろ母指球の位置を探して踏み面に当てやすい。

ワークマンの作業靴で60キロ程度のツーリングはまったく問題なかった。グリップ性能も確保されているので、高速走行時にペダルから滑って危うくなることもない。

ワークマンでロードバイク

ただし思い切り負荷をかけて踏んでみると、ペダルの凹凸がソールに食い込みすぎて、足裏にちょっとストレスを感じた。シューズへの攻撃性の高いスパイクピンは避けた方がいいだろう。

ミニベロのダホンK3にデフォルトで付いている樹脂ペダルや、普通のママチャリならまったく問題ないと思う。

最初は足に痛みが出るかも

履き始めた当初は足底筋やふくらはぎの鍛え方が不十分なせいか、10キロ近く歩くと足の甲など変なところが痛くなった。

これは昔ベアフットシューズで走り始めたときと同じ症状だ。今はだいぶ慣れてきたせいか、長距離を歩いてもそこまで痛みは出ない。

ソールのかかとがすり減りやすい

建さんIIは見た目どおりの綿素材なので、防水性はまったくない。

ただしアッパーが厚いので、ちょっとした小雨なら靴の中まで濡れてくることはない。通気性を重視したナイロンメッシュやニット素材のランニングシューズより、撥水性は高いと思う。

ワークマン・シューズの弱点はソールのかかと部分に穴が開く点だ。自分の場合アンダープロネーション気味なのか、かかとの外側からソールが削れてくる。

踵が切れると中に水が入る

建さんはかかと部分に摩耗性の高い素材が使われているわけでもなく、ソールの厚みも少ない。そのためちょっとすり減っただけで、ソールの中の黒いゴム層が見えてくる。

半年履いたワークマンシューズ

半年履いたシューズのソール

この段階になると、オレンジ色のソールに切れ目が入る。ここから内側は防水性がまったくないようで、ちょっとした水たまりを踏んだだけでもかかとから水が浸水してくる。

ワークマンでぬかるみを歩く

建さんでぬかるみを歩く

毛細管現象というか着地の際のポンプ作用によるのか、知らないうちに靴下が湿っていて驚くこともある。かかとに穴が開くと、一気に使い心地は悪化してしまう。

もっとも元の価格が安いので、半年ごとに買い替えても年間コストは1,000円ちょっと。普通のスニーカーを買い替えるよりずっと安くローテーションできてしまう。

帆布のアッパー素材は頑丈

かかとの弱点に比べるとアッパーの帆布素材はかなり頑丈だ。

一か所だけどこかに引っ掛けたのか穴が開きかけたが、内側の白い布が見える程度で収まった。

アッパーに開いた穴

ナイロンメッシュのランニングシューズも、半年履いていればアッパーは傷だらけになる。それに比べると建さんの耐久性は高い方だと思う。

単色シンプルで服に合わせやすい

ワークマンのシューズは見た目の地味さも魅力のひとつ。

建さんIIの場合は黒・白・紺という無印良品のような3色構成で、過剰な装飾は排除されている。ちまたのランニングシューズのようにカラフルではないため、街中でも目立ちすぎずワードローブに合わせやすい。

ワークマンの建さんIIシューズ

黒一色の作業靴はまるで僧侶の靴のようだ。ソールもブラックだとさらによかったが、飴色の靴底はレトロなスニーカーのようで違和感はない。

建さんタグで余計な個性を主張

唯一目立つのは「建さん®」と書かれた黄色のタグ。

パラブーツを真似した外側配置で、黒地に黄色のロゴはビブラムをほうふつさせる。ちなみにメッシュアッパーの建さんIだとタグは青色になる。

黄色の建さんタグ

この価格帯ならタグなど省いた方が合理的だと思うのだが、なぜか「建さん」という漢字のネーミングにこだわりがあるようだ。

アシックス・ターサーの「虎走」刺繍、もしくは海外ウケを意識しているのだろうか。

ワークマン・ファッションの流行

アスレジャーの流行で安価なワークマンを使ったコーディネートが流行っている。

ワークマンの郊外店でも、作業着以外にアウトドア~スポーツ向けを意識したカジュアルな服が増えている。中には反射材や後部ポケットをそなえ、通気性にすぐれた本格的なサイクルウェアまであったりする。

ワークマンのカタログ

品質は業務仕様でフィット感も問題なく、これでユニクロより安かったりするから売れないわけがない。とび職のニッカズボンでシルエットを整えれば、そのままクライミングに使えるという発想だ。

ワークマンは近所でかぶりまくる

ワークマンのシューズもじわじわ人気が出ているようで、近所で同じモデルを履いている人をたびたび見かける。

一度などはスポーツセンターの下駄箱で間違えそうになった。まったく同じ色・形なので、隣に並んでいると見分けがつかない。

スポーツセンターの下駄箱

さいわいサイズが違ったのですぐに気づけたが、公共施設での取り間違いには注意する必要がある。ここまでワークマンが普及すると、クロックスのようにアクセサリーでも付けて差別化した方が無難だろう。

いまやコンバースのオールスターより安くて定番感が漂うワークマン・シューズ。そのうち本革製とかプリント素材とか、ファッション用にバリエーションが増えそうな予感もする。

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