小径車でヒルクライムは可能。足つきなしで風張峠に到達

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ダホンK3で奥多摩の風張峠に上ってみた。

勾配のきつい部分はほとんど立ち漕ぎになったが、一度も足を着かずに頂上まで行けた。14インチの折りたたみ小径車でも、根性を出せばヒルクライムは可能だ。

青梅から奥多摩湖に上る

今回走ったのは青梅から奥多摩湖に上る反時計回りの周回コース。

東京都内の道路としては一番標高の高い、風張峠に湖側から上ってみた。そのまま奥多摩周遊道路を「都民の森」方面に下り、あきる野市の武蔵五日市駅まで戻る。

STRAVA 奥多摩湖~風張峠

トータルで100キロを超えるロングライドになった。K3は高速走行時の安定性が高いので、長い距離を走ってもそれほどつらくない。

K3で雨天走行

JR青梅線の古里駅までは、青梅街道でなく吉野街道(都道201号)でアクセスした。

ロードバイクであればスピードを出しやすいルートだが、K3ではちょっとした上り坂でもノロノロ運転になってしまう。連休中で車は多いものの、トラックが少なかったのは幸いだった。

天気予報では晴れる見込みだったが、雨雲レーダーになかった雲が山からどんどん湧いてきた。走っているうちに、局所的な土砂降りに遭遇してしまった。

たとえ小径車でも濡れた道路や水たまりから泥がはね上がる。1.35インチという太いタイヤのせいか、シートポストとサドルバッグ、お尻から背中にかけて泥まみれになった。

K3の後輪、泥のはね上げ

今後の対策として、14インチのK3に合うフェンダーが販売されている。もし通勤などで雨でもやむなく走る場合は、泥除けを取り付けた方が手入れが楽だと思う。

古里駅のトイレが便利

古里駅前のセブンイレブンは、青梅街道沿いの貴重な休憩スポット。休日はキャンプや登山のお客さんでトイレが混んでいるときがある。

古里駅の公衆トイレ

そんなときは信号を渡ってすぐ先の、古里駅にある公衆トイレを利用するのがおすすめだ。改札の外にあるので無料で使用できる。

ダムの前のトンネルが難所

古里駅から先、奥多摩湖に上る途中にいくつかトンネルがある。

長さはせいぜい200メートルくらいなので、ロードバイクならそのまま道路を走るのが普通だ。しかし小径車では危ない気がしたので、ガードレールをまたいでおとなしく歩道に移った。

青梅街道のトンネル

最大の難所は奥多摩駅を越えた先にある、狭いトンネルが2つ連続する部分。

ここは歩道がないので、小径車でも車道を進むしかなかった。路肩は狭く、バスも行き交う危険なトンネル。さらに青梅側からだと内部はずっと上り坂で、スピードも出せない。

奥多摩湖前のトンネル

前後のライトを全開にして、思い切りペダルを回した。

なるべく端に寄りたかったが、道路の脇には得体のしれない泥やぬかるみが積もっている。うっかり乗り上げるとタイヤがスリップして危ない。

このトンネルはロードバイクにとっても難所といえる。車と並走できるくらいの脚力がなければ、青梅側からは進入しない方が安全だ。

湖のまわりもトンネルだらけ

小河内ダム直前のきつい坂は、先日、梅ヶ谷峠で練習したローギア・ダンシングでこなせた。

青梅街道の狭いトンネルにさえ気をつければ、K3で標高530mの奥多摩湖までは到達できる。

小河内ダム前のダホンK3

ダム湖のまわりは平地で楽しいツーリングになる予想だったが、ここもトンネルが多くて苦労した。

ロードバイクではスピードを出して突っ切れるような短いトンネルでも、ノロマなK3では後ろから車に追い立てられてしまう。

K3で風張峠に上る

湖にかかる深山橋を渡って奥多摩周遊道路の入口に到着。

旧料金所付近の川野駐車場で食料補給しながら、登坂にそなえて装備を確認する。

川野駐車場のダホンK3

ここから先、月夜見第一駐車場までの9.3km区間が、本日メインのヒルクライム区間だ。

あと1枚、軽いギアが欲しい

序盤の傾斜がゆるい部分は2速で走ってギアを温存した。

しかしすぐにロー側を全開放しないとペダルを回せなくなった。一瞬勾配のゆるくなる部分は2速に戻すが、登坂区間の9割くらいは1速べったりだった。

K3のローギア(53T×17T)は、体感的にロードバイクのコンパクトクランク34T×25Tより1~2枚重たい感じ。3速にしてはワイドな配分といえるが、本格的な坂を上るならもう1段階、軽いギアが欲しいところだ。

ダホンK3のシフター

峠を上りながら、これ以上押し込めないシフトレバーを無意識に何度も押してしまった。逆に平地走行でも「あと1枚重いギアがあれば、もう一声、加速できる」という場面がある。

ギアを3速から5速に強化した、K5なんて新車種が出たらおもしろい。

重量は増えてメンテもシビアになるだろうが、14インチのミニベロでギアが5枚もあったら革命的だ。

小径車でダンシングは可能

坂道を淡々と上る心境は、小径車でもロードバイクでも変わらない。

K3のローギアはロードのそれより重いため、きつい坂ではほとんど立ち漕ぎ状態になってしまう。サドルに座って足を回すより疲れるが、いろいろ姿勢を変えて身体をほぐせる利点がある。

ギアは1速に固定された状態なので、身体の姿勢を変えつつ勾配に対応するしかない。太ももや背中など一か所に疲労がたまらないよう、普段より頻繁にポジションを変えてみた。

ダンシングでフレームを左右に激しく振るかたちになるが、小径車だからといって不安定に感じることはなかった。むしろ車体が軽いので慣れればコントロールしやすい。

長いバーエンドが役に立つ

今回はバーエンドバーをフラットハンドルの両端にセッティングしてきた。

バーエンドが心々52センチもあるので、ドロップハンドルに比べるとかなり広めの設定。しかし胸を開けるので呼吸が楽になる。

ダホンK3のバーエンド握り替え

イオンバイクのバーエンドはリーチが10センチ以上あるので、先端だけつかんだりコーナー部分に手の平を乗せたり、いろいろな持ち方が可能。

ダホンK3のバーエンド握り替え

おかげで長い立ち漕ぎでも、腕まわりの疲労を分散することができた。

距離は長いが勾配はゆるい

奥多摩周遊道路は路面が整備されていて、勾配もほぼ均等に設計されている。湖から風張峠までの道は長いが、いわゆる激坂クラスの斜度は出現しない。

ミニベロでもゆっくり漕ぎ続ければ、地面に足を着かずに風張峠まで到達できた。

月夜見第一駐車場のダホンK3

川野~月夜見第一駐車場区間の走行タイムは42分くらい。平均的に時速11キロ程度で走れた計算になる。

K3で峠をダウンヒル

小径車で峠を上ってみて、もうひとつ検証したかったのは下り坂での安全性

おもちゃのような14インチ車で、標高1,146メートルの風張峠から無事に下りてくることはできるのだろうか。

風張峠のダホンK3

結論としては、十分に注意して減速すれば、長いダウンヒルでも問題はなかった。

小径車は路面の段差に敏感なので、ロードバイクよりもスピードを落として慎重に運転する。意識的にブレーキを強めに効かせて、迫ってくる障害物やコーナーにそなえる。

そもそも3速しかないので、時速35キロくらいになると足を回してもそれ以上スピードが出ない。ロードであればペダルを踏み込んでさらに加速できる局面でも、ギアの少ないミニベロは自然落下に任せるしかない。

ダホンK3の「一定以上スピードが出ない」という特徴は、下りにおける安全装置ともいえる。

Vブレーキの威力は高い

K3に付いているVブレーキは、ロードのキャリパー式より制動力が高い。そのため人差し指と中指の2本だけで、容易に減速コントロールできる。

ダホンK3のVブレーキ

常にブレーキをかけてスピードが出すぎないよう気を付ければ、下りはむしろロードバイクより安全でないかと思う。

握力が弱い人でも難なくブレーキを効かせられる。キャリパーでは効きが弱くてズルズル滑り落ちるような急坂でも、Vブレーキならピタッと止まれる。

奥多摩周遊道路は路面がスベスベで凹凸が少ないおかげか、ミニベロでも安心して下ることができた。

強いて言えば車体が小さいので、ハンドル操作を誤るとガードレールを超えて崖下に落ちそうな恐怖感を覚える。

風張林道ゲート前のダホンK3

風張峠はまだましだが、K3で急勾配の荒れた林道を走るとしたら、相当こわい思いをするだろう。

ミニベロは軽い分、登坂に有利?

都民の森で休憩した後、武蔵五日市駅まで長い下りを楽しんだ。

スピードは出ないので、まわりのロードバイクにどんどん追い抜かれる。こんなに小さいチャリンコで山道を走っているのは危なっかしいのか、車もバスも慎重に避けてくれる。

都民の森のダホンK3

ダメもとで挑戦してみた奥多摩のツーリングも、ダホンK3で問題なく完走できた。

むしろ車体の軽さを生かせば、上りはロードより有利な気がしないでもない。駆動系をチューンナップしてシッティングのまま足を回せるようにすれば、もっとタイムは縮まると思う。

近いうちに同じコースをロードバイクでも走り直してみて、ミニベロとの違いを比べてみたい。