汎用性の高いショートリーチのDHバー、デダ・カーボンブラスト

トライアスロンのレース向けに、エアロバーを購入した。いろいろ悩んで選んだのは、DEDAのCarbon Blastという製品。前傾姿勢や安定感は標準タイプに劣るが、ポジション変更不要なメリットを重視してバーの短いショートタイプを選択した。

改造後のカーボンブラスト

この手のアタッチメントは本来、前傾投影面積・空気抵抗を減らす目的で使用される。使ってみて気づいたのは、パッドに上半身を預けることで体を休ませられる効果もあるということだ。特にランパートを控えたトライアスロンのレースでは、疲労を緩和できることの利点は大きい。

メーカーにこだわらなければ、今はパッド付きのDHバーでも安い製品が出回っている。レースに出るだけでなく、サイクリングロードで平地巡航することが多いなら、投資しても損はないパーツだ。

エアロバーの長さとポジション問題

バーが長いほど前傾姿勢を強められるが、その分きゅうくつな体勢になってしまう。標準サイズのDHバーを装着する場合は、サドルを前に出したりヘッドパーツを下げたり、全体的なポジション調整が必要になる。もとから姿勢が前傾するよう設計されているTTフレームなら、その必要はないかもしれない。

ロードバイクの改造で悩ましいのは、レースによって異なるレギュレーションだ。トライアスロンの大会では問題ないが、たいていのロードレース(ヒルクライムやエンデューロ)ではDHバーの使用が禁止されている。

もしバーに合わせて各所を前傾向けにセッティングした場合、ヒルクライムに出るなら前乗りすぎて不自然なポジションになってしまう。普通のロードとTT用で2台バイクを所有できれば楽だが、予算的・保管スペース的に余裕はない。

ニールプライドやアルゴン18のバイクには、前後の位置を替えられるリバーシブルタイプのシートポストが付いている。単体で買える製品もあるが、セッティングは2種類だけで無段階調整できるわけではない。

1台のバイクでなるべく汎用性を持たせようとするなら、サドル周りのポジションはいじらない方が無難だ。レースごとにパーツをいくつもそろえて交換するのは、ホビーレーサーとして負担が大きい(自分でできなければショップの工賃もかかる)。

ショートリーチのデメリット

結局エアロバーはポジション変更が不要なショートタイプを選び、同じ理由でリムハイト32mmのセミエアロホイールを買いそろえた。バーが短いので取り回しやすく、シーコンのバイクケースやジャイアントのコンパクト輪行袋にもそのまま収められる。

便利さの代償として、デメリットもいくつか存在する。まずショートタイプは前傾姿勢が弱まるので、その分エアロ効果も低減する。脇は締められるので前方投影面積は減るが、ポジション前傾に比べれば影響は弱い。

またパッドに腕を乗せる位置が肘ではなく手首になるので、そこまで体重を預けられず安定性も劣る。細い手首の部分に不自然な荷重が加わるため、レースで5時間も握っていると、その後数日は腕が痛くなることもある。

ショートリーチのエアロバーとは、ITUルールが適用されるドラフティング許可の短距離レースに向いているのだろう。ミドルやロングのレースでパフォーマンスを上げるなら、標準サイズのバーの方が有利だと思う。

カーボンブラストの造形美

トライアスロン向けのDHバーといえば、Profile Designが定番だ。直線型からさまざまなベンド形状のバーがラインナップされている。予算に合わせてアルミ/カーボン素材を選ぶこともできる。

価格も安いが「実用本位」という設計で、アームパッドまわりのごちゃごちゃしているのは好きでない。重量や空気抵抗が増えそうな「跳ね上げ式」のパッドは余計に見える。そしてショートタイプの「T2 DL」はいつの間にか廃番になってしまった(2019年現在の後継製品はADL II)。

エアロバーを検討中、DedaからCarbon Blastという新製品が出ていた。カーボン製で値段は高かったが、直前に控えていたアイアンマン70.3セントレアのミドルディスタンスで試したいという理由もあり、思い切って買ってしまった。

カーボンブラストは、ショートリーチかつロープロファイルのすっきりした形状で、バー部分とアームパッドが一体成型されているのが特徴。

この造形美はカーボン素材でなければ成し得ない。パッドを外すと手首が痛いが、継ぎ目のない、すべすべした量塊(マッス)を眺めるできる。これはハンドルの上に載せる観賞用のオブジェといっても過言でない。

その後アルミ版のMetal Blastも発売されたが、アームの土台は薄く、穴あき加工されているのは頼りない。クランプ・バーとは別のパーツがねじ止めされているので、ゆるんでがたつくリスクもある。

実用性は廉価品でも変わらない

コスパを考えれば、カーボンよりメタルブラストの方が圧倒的に有利。むしろデダよりプロファイル・デザインを選んだ方が一層リーズナブルだ。今では1万以下の中華製カーボンDHバーも手に入る。

さらに安いアルミ製クリップオンバーも存在するが、パッドがないバーは姿勢が安定せず、長時間の利用は難しい。

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今あえて3~4万もするCarbon Blastを選ぶとすれば、ごくわずかな軽量化の他は審美的な理由しかない。こんな小さなパーツでは振動吸収性などたいした違いは出ない。冬場に素手で握ると金属より冷たくないが、バーテープを巻けば解消できる。

見た目的にはカーボンむき出しのままが理想的だが、実際は滑りやすくて使いにくい。パッドを乗せてテープを巻くと、カーボン表面がほとんど見えなくなるのは残念だ。しかもハンドルにクランプを留める金属ネジは安物なのか、すぐに錆びてしまった。

勢いでカーボンブラストを買ってしまったが、ミドルレンジの105完成車に装着するには豪華すぎた。それより先に、サドルやシートポストをカーボンに替えればよかったと思う。後からメタルブラストが出たときは、正直悔しい思いをした。

取り付けるハンドルの外径に注意

カーボンブラストの取り付けに際しては、クランプと噛み合うよう、ハンドル中央部112mmの範囲が外径31.7mmかつフラットである必要がある。Anchor RFX8完成車についていたニットーのハンドルは、ステムの支持部からすぐに直径がすぼまってしまう形状だったので適合しなかった。

代わりのハンドルを探して、FSAのOmega Compactに丸ごと交換することになった。ニットーと似たような安いアルミ製のドロップハンドルで、特に使用感の違いはない。

後からエアロバーを乗せなければ替える必要のなかったパーツで、ブレーキ/シフトレバーの着脱に工賃もかかった。すでに高価なハンドルを付けている人は、Dedaと互換性があるか確認しておいた方がいい。

いずれはハンドルも軽いカーボン製に替えたかったが、DHバーをアタッチすることを考えると強度に不安がある。パッドに体重を乗せたり余計な負荷がかかるので、エアロ仕様にするならステムから上はアルミ素材でそろえた方が無難だ。

そう考えると、ますますメタルブラストの方がよかった気がする。レースでこれを使っている人を見て、思わず交換してほしいくらいに思った。

METAL BLAST

エアロバーの副次的効果

エアロバーの導入によって、高速域で空気抵抗の減る利点はすぐに実感できた。37km/hくらいの速度で握ると、軽く2~3km/hはスピードアップする。特にトライアスロンのバイクパート、平地や下りの直線で威力を発揮する。

副次的なメリットとして、腕をパッドに載せることにより上半身をリラックスさせる効果もあった。長時間にわたるトライアスロンのバイクパートでは、この利点が意外と大きく効いてくる。

慣れればパッドに肘を預けたまま、羊羹やジェルを取り出して食べることもできる。達人になると、まるでコタツの上でミカンをむいているかのようにリラックスできる。

ただしDeda製品に付いてくるスポンジ製のパッドは、安っぽくて使い心地はいまいちだ。適切な素材を探してアームパッドを自作したら、ずいぶん快適になった。